執筆者
ぱすてるキッズクリニック長原
院長髙嶋 能文(Yoshifumi Takashima)
資格
- 日本小児科学会 小児科専門医
- 日本血液学会 血液専門医
- 日本医師会認定 産業医
学会
- 日本小児科学会
- 日本血液学会
- 日本外来小児科学会
- 日本小児臨床アレルギー学会
- 東京小児科医会
夜尿症とは、眠っている間に無意識に排尿してしまう状態をいいます。一般的に、5歳を過ぎても月に1回以上のおねしょが3か月以上続く場合を「夜尿症」と呼びます。
おねしょは乳幼児期にはごく一般的にみられ、年齢とともに自然に減っていきます。7歳では約10人に1人(10%)に夜尿症がみられますが、10歳では5%となります。
小学校高学年になっても続くお子さまもいますが、多くは成長とともに改善していきます。
夜尿症は、しつけやお子さまの性格、本人の意思によって起こるものではありません。成長のペースには個人差があるため、叱ったり焦ったりせずに向き合うことが大切です。
ご両親のどちらかに夜尿症の経験がある場合は、お子さまにもみられやすいことが知られており、体質や遺伝的な要因も関係すると考えられています。
夜尿症には、主に次の3つの要因が関係しています。
これらの要因がひとつだけではなく、複数重なっていることもあります。また、便秘や睡眠の問題などが影響している場合もあります。
夜尿症は、夜間につくられる尿の量と、膀胱にためられる尿の量によって、大きく3つのタイプに分けられます。タイプによって適した治療方法が異なるため、お子さまの状態を確認しながら治療方針を検討します。
睡眠中につくられる尿の量が多く、膀胱からあふれてしまうタイプです。夜間の尿量を減らす薬が治療の選択肢になります。
睡眠中に膀胱へためられる尿の量が少ないタイプです。おねしょアラームなどによる治療を検討します。
夜間の尿量が多く、膀胱にためられる量も少ないタイプです。お子さまの状態に応じて、複数の治療方法を組み合わせます。
夜のおねしょだけでなく、昼間のおもらしや頻尿、急な尿意などがみられる場合もあります。この場合は、昼間の症状に対する治療を優先することがあります。
必要に応じて尿検査をおこなうほか、おねしょをした日や水分摂取量や排尿の時間などを記録する「夜尿日誌」をつけていただきます。
お子さまの状態を確認したうえで、夜尿症のタイプやご家庭の状況に合った対応をご提案します。
夜尿症の治療は、まず生活習慣の見直しから始めます。改善が十分にみられない場合は、お子さまの状態に応じて、薬物療法やアラーム療法を検討します。
水分を必要以上に制限する必要はありません。年齢や体格、季節などによって適切な量は異なるため、医師の説明に沿って調整しましょう。
夜間につくられる尿の量が多い場合には、デスモプレシンというお薬を使用することがあります。体内の抗利尿ホルモンの働きを補い、夜間の尿量を減らすお薬です。
服用前後に水分を多く摂ると、体内の水分バランスが崩れ、まれに水中毒を起こすことがあります。そのため、夕食後から翌朝までの水分摂取については、医師の指示を必ず守ってください。
多量に水分を摂った日や、発熱・嘔吐・下痢などによって水分補給が必要なときは服用せず、医師にご相談ください。
日中の頻尿や急な尿意がある場合、膀胱に十分な量の尿をためにくい場合などには、膀胱の収縮を抑える抗コリン薬を検討することがあります。デスモプレシンと併用することが多いです。
アラーム療法は、下着などに取り付けたセンサーが尿を感知すると、音や振動で知らせる治療法です。
継続することで、夜間に膀胱へためられる尿の量が増え、夜尿の回数が減る効果が期待できます。効果が現れるまでには数週間から数か月かかることがあり、ご家族の協力も必要です。
薬物療法とアラーム療法のどちらが適しているかは、お子さまの症状や生活環境、治療の希望などを踏まえて一緒に考えていきます。
次のような症状がある場合は、夜尿症以外の病気が隠れていないか確認するため、お早めにご相談ください。
おねしょを叱っても、改善にはつながりません。かえってお子さまの自信を失わせ、治療への意欲を低下させてしまうことがあります。
治療上の指示がない限り、毎晩決まった時間に無理に起こす必要もありません。
「焦らず、起こさず、叱らず」を基本に、できたことに目を向けながら見守りましょう。
ご家族が思い詰めすぎないことも大切です。少し肩の力を抜き、お子さまの成長のペースに合わせて取り組んでいきましょう。
5歳頃からご相談いただけます。実際に治療を始める時期は、おねしょの頻度やお子さまの困りごとなどによって異なります。就学前は、主に生活習慣についてアドバイスします。
夜尿症のタイプや生活環境によって、適した治療法が異なります。診察のうえ、お子さまとご家庭に合った方法をご提案します。
治療法によって、効果が現れるまでの期間が異なります。宿泊行事の日程が決まっている場合は、できるだけお早めに当院までご相談ください。お薬を使用する場合は、事前に効果や服用方法を確認したうえで、当日の対応を検討します。