執筆者
ぱすてるキッズクリニック長原
院長髙嶋 能文(Yoshifumi Takashima)
資格
- 日本小児科学会 小児科専門医
- 日本血液学会 血液専門医
- 日本医師会認定 産業医
学会
- 日本小児科学会
- 日本血液学会
- 日本外来小児科学会
- 日本小児臨床アレルギー学会
- 東京小児科医会
「あざが多い」「けがや処置の後に血が止まりにくい」「関節が腫れて痛がる」などの症状から、血液の病気が疑われることがあります。ただし、こうした症状は血友病以外の病気でもみられ、あざや鼻血があるだけで血友病とは限りません。症状の現れ方やご家族の病歴を確認し、必要に応じて血液検査や専門医療機関への紹介をおこないます。
院長は日本小児科学会小児科専門医、日本血液学会血液専門医の資格を持ち、専門病院に16年間勤務して血液疾患を中心に診療してきました。その経験を生かし、血友病が疑われるお子さまのご相談や、専門医療機関で治療を受けているお子さまの日常的な体調管理にご対応します。
これらの症状があっても、必ずしも血友病とは限りません。血小板の異常やフォン・ヴィレブランド病など、別の病気が原因となることもあるため、検査による確認が必要です。
血友病は、血を固めるために必要な「血液凝固因子」の働きが生まれつき低下しているため、出血が止まりにくくなる病気です。
と呼びます。凝固因子の活性値によって、重症、中等症、軽症に分けられます。
血友病は遺伝子の特徴から男の子や男性に多くみられますが、女の子や女性でも凝固因子の働きが低く、出血症状が現れる場合があります。また、ご家族や親族に血友病の方がいなくても発症することがあります。
血友病では、切り傷など体の表面の出血だけでなく、関節や筋肉など、体の深い部分で起こる出血に注意が必要です。
症状の現れ方は重症度によって異なります。重症の場合は明らかなきっかけがなくても出血することがあり、軽症の場合は手術や抜歯、大きなけがをしたときに初めてわかることもあります。
ひざや足首、ひじなどの関節内に出血します。初めは違和感やむずむずする感覚があり、その後、痛みや腫れ、熱っぽさが現れることがあります。
出血を繰り返すと関節が傷み、動かしにくくなることがあるため、早期の対応と出血を予防する治療が大切です。
太ももやふくらはぎ、腕、腰などの筋肉内に出血することがあります。痛みや腫れ、熱っぽさが現れ、手足を動かしにくくなる場合があります。
筋肉内に出血がたまると、周囲の神経や血管を圧迫することがあるため、お早めに対応することが必要です。
皮膚の下に出血し、青あざができます。乳幼児では、はいはいやつかまり立ちを始める頃にあざが目立つことがあります。
口の中をかんだときや、乳歯の生え替わり、抜歯や歯科治療などをきっかけに出血することがあります。
鼻の粘膜が傷つくことで鼻血が出ることがあります。鼻血は血友病以外のお子さまにもよくみられる症状ですが、出血が長引く場合は注意が必要です。
腎臓や尿路からの出血によって、尿に血が混じることがあります。見た目ではわからず、尿検査で見つかる場合もあります。
頭の中で起こる出血は、命に関わる可能性があります。血友病の場合、頭を強く打った場合は症状がなくてもすぐに専門の医療機関へ連絡してください。
血友病が疑われる場合は、血液検査によって血液の固まり方を調べます。さらに、第Ⅷ因子や第Ⅸ因子の活性値を測定し、血友病の種類や重症度を確認します。
症状や検査結果によっては、血友病以外の出血性疾患についても調べます。確定診断やくわしい検査が必要な場合は、血液疾患を専門とする医療機関へご紹介します。
血友病の治療では、出血したときに止血するだけでなく、日頃から出血を防ぎ関節などへの障害を予防することが大切です。
不足している第Ⅷ因子または第Ⅸ因子を補う血液凝固因子製剤による治療のほか、血液凝固因子を直接補充せずに出血を防ぐ薬を使用することもあります。治療法は血友病の種類や重症度、年齢、インヒビター※の有無などに応じて選択します。
血友病が疑われる場合は、専門的な検査と治療が可能な医療機関へご紹介します。診断後は、専門医療機関と連携しながら、当院でも日常的な体調不良や予防接種などについてご相談いただけます。
※治療で使う薬(血液凝固因子製剤)を、体が異物と誤って認識し、その働きを妨げる抗体ができることがあります。この抗体をインヒビターといいます。インヒビターができると、薬を使っても効果が出にくくなります。
血友病と診断されているお子さまに次のような症状がみられた場合は、かかりつけの専門医療機関へ速やかに連絡してください。
呼びかけへの反応がない、けいれんしている、呼吸が苦しそうといった場合は、すぐに119番へ通報してください。
アスピリンや一部の解熱鎮痛薬には、血小板の働きを抑え出血しやすくするものがあります。市販薬を使用する前に、医師や薬剤師へ血友病であることをお伝えください。
血友病だからといって、すべての運動を避ける必要はありません。
適度な運動で筋力をつけることは、関節を守るためにも大切です。ただし、出血の危険性は、血友病の重症度や治療状況、運動の種類によって異なります。接触の多いスポーツなどを始める場合は、あらかじめ専門医へ相談しましょう。
予防接種は基本的に受けられますが、接種方法や治療薬を使用するタイミングなどに配慮が必要な場合があります。接種前に血友病であることを伝え、専門医の指示に沿って受けてください。
接種後は注射した部分をもまず、指示された時間しっかりと圧迫し、腫れや出血がないか確認しましょう。
園や学校には、出血時の対応方法や緊急連絡先、使用している治療薬について伝えておきましょう。必要以上に活動を制限せず、お子さまが安全に集団生活を送れるように環境を整えることが大切です。
歯科受診や手術、けがの治療を受ける際にも、必ず血友病であることを医療者へ伝えてください。
血友病と診断された場合は、年齢や病状などに応じて「小児慢性特定疾病医療費助成制度」や「先天性血液凝固因子障害等治療研究事業」などを利用できる場合があります。
対象となる条件や申請方法は制度や自治体によって異なります。専門医療機関やお住まいの自治体の窓口へご確認ください。
はい、ご相談いただけます。あざの数や大きさ、できた場所、ご家族の病歴などを確認し、必要に応じて検査をご提案します。可能であれば、あざができたときの写真を撮ってお持ちください。
はい。ご家族や親族に血友病の方がいなくても、遺伝子の変化によって発症することがあります。家族歴がないことだけで血友病を否定することはできません。
専門的な検査や出血を予防する治療は、血友病の診療体制が整った医療機関と連携して進めます。風邪などの日常的な体調不良や予防接種については、専門医療機関と情報を共有しながら当院でもご相談いただけます。